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知り合い
ファイル№22 ― 教会の中 ―
つぎつぎとはいりこんだ男たちを不安そうにながめたタタは、なにやらぶつぶつつぶやきながら、交差した手で胸をなんどもたたく。
「おれたちのこと《悪霊》だとおもってはらってんのか?」
ケンがにやけた顔できくと、からだのおおきな年寄はおどろいたように男たちをみた。
「おれたちの文化を知ってるのか?」
「ちょっとだけですよ」
ジャンが代表して答えたとき、「若いの、それをもっと誇って、威張ってもいい」と奥から男が現れた。
毛皮のついた帽子をかぶり、指にはさんだ葉巻をふってみせる。
「あ、あのおっさんだ」
ザックがケンをみていうのに、ぼうやたちも無事についたか、とスーフ族の男は楽しそうに黄色い歯をみせてわらい、こっちへこい、と奥へゆく。
「エボフの知り合いなのか?」
タタが、それならしかたないというようにため息をつき、ケンを先頭に奥へ移動すると、そこには外からは想像もつかない、広くて暖かい居間があった。