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足跡


 ザックが崖をのぼりきったとき、先にのぼっていたルイが手をすりあわせるようにむこうの建築物をながめていた。

「みろよ。あの教会、写真でみたより、頑丈そうだなあ」


 崖をのぼりきったところからその教会まで、この積もった雪のしたにはきっと道があるのだろう。

 すぐそこから、両脇に平たい石を腰ほどの高さでつんだ石垣が続いている。

 


「 ―― お客がきてるみたいだな」

 ジャンが、教会までつづく雪のふみあとをさす。


 きのうのスーフ族だろう?とウィルがつまらなさそうに前髪をはらった。

「おれたちとはちがうルートでのぼったんだね、ここまでで彼らの足跡、どこかでみかけた?」とジャンをみる。


 だれもみた記憶はなかった。

 消したのかも、とルイがつぶやいた。



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