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嘘をつけない
あ、とテリーが声をだし、あわてて冷凍庫をしめると、「わすれてたよ」といっしょにでてきていた男たちの背を、小屋にもどるように押した。
「 その・・・、おれがまえにきたときに、やっぱり缶詰は食べちゃって、鹿も、こまかくさばいてしまっておいたんだ」
暖炉のまえでみんなに説明する。
首をふったライアンがロビーと目をあわせる。
ケンがおもしろそうに、急におもいだしたのか?と座っていた椅子の背にあごをのせる。
そうだ、とうなずくテリーが、不安そうにみんなをみまわす。
代表してライアンが、「ここまできて嘘はなしだ」と、いいきかせた。
びっくりした顔のあと肩をおとしたテリーに同情するように、「『狼男』がここを使ってるってことなんだろ?」とザックがきくと、しかたなさそうにうなずき、腰をおとした。