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増えた肉
まだ風が舞う中、ザックとジャン、保安官たちが後に続く。
小屋わきにおかれた冷凍庫にかけ寄りふたをあげたテリーが、情けない顔をむけ、「ふえてる・・・」とつぶやいた。
「『ふえてる』? なくなってるんじゃなくて?」
ライアンがそれをのぞくと、ぐっと口をとじ、さばいてあるな、と腕をくんだ。
ザックがのぞくと、どけられたビニールシートの下、紙に包まれ小分けにされたものたちがみえた。
ひとつを手に取ったテリーが、おう、と声をもらす。
よこからそれをうばったライアンが、眉をよせ、「部位がかいてある」と『フィレ』とかかれた包みをみんなにむける。
「達筆だな」
その古い字体をさして、ジャンが眉をよせた。