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別世界
ここにつくまでの風と寒さがまったくの別世界のようだった。
外観は保安官の監視所のように丸太でつくられた大きな小屋だったが、中は板の張られた壁があり、隙間風のおともしないほどのつくりだった。
外の風の唸るような音はきこえるが、窓も二重のしっかりした小さなものがはいり、割れる心配もなさそうだ。
「 まあ、誰が建てたのかはおれもしらないけど、おれがこどものときからあるのはたしかだよ。 そのときはまだこんな立派じゃなくて、もっと小屋らしかったけど。でも、当時からある家具たちが、古いけど、上等なものばかりなんだよなあ」
ルイは自分が座っている暖炉前に敷かれた絨毯をさわり、天井からさがる小さなシャンデリアをみあげる。