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手巻きの煙草
「 そうだ。スーフ族からのプレゼントだよ」
おもいだしたウィルが、矢についておくられた革の小袋をとりだす。
「いや、まて。 スーフ族の《レジット》なんて吸ったら、雪の中を雲の中だと思って凍死する危険もあるぞ」
ライアンが止めるのに、ウィルは袋の中から煙草を取り出すと、顔をおおうようにしてくわえ、ポケットからだしたオイルライターを擦った。
火は二度目でつき、煙草にうつされる。
「さっきいってた『おまじない』ってさ、気分的にはしないよりしたほうがいいだろう? だいいちこれって、おれたち用に彼らが作ってくれたんだとおもうよ」巻いてあるこの紙、辞書でしょ、と文字がこまかく印刷された『煙草』を横にいるルイにまわす。
ルイはザックにまわすときに、おもいきり肺にすいこむなよ、と注意する。
ケンからロビーにいくが、ぼく喘息がでるかもしれないので煙草は吸いません、と断られる。
隣にいるジャンが、口にふくむだけでいい、と促すが、気分的にも受け付けないんだから、吸わなくていいだろとライアンがとめる。