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横にふる雪
昼の休憩は、教会を目指す方角からそれた、山小屋へむかう途中で一度とることになっており、せっかくのぼったところを一度下るのだが、どういうわけか、くだってゆくほどに風が強まった。
前が見えないというほどじゃないな、とジャンが言ったが、ザックとしては、みえないもおなじだった。
だって、景色はほぼ白だけだし、風のせいで、雪は、横に降る。
このさきにある山小屋をよくしるテリーはもちろん、こどものころにいったというルイもいっしょに先頭にいる。
そのあとについていたバートとライアンが、顔をよせあってなにかはなしているのをみながら、ザックは被ったフードにあたる雪の音に負けないように、となりにいるロビーに、だいじょうぶか、と声をかけた。