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ファイル№18 ― 贈り物
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ファイル№18 ― 贈り物 ―
そういえばさあ、とウィルが前髪をはらい、ふりかえる。
「 ルイの知ってる『狼男』のほうも、やっぱり狼に変身するの?」
その質問はかなりの大声で、ライアンの上をとおりすぎる。
「 ああ、みためはそうらしいよ。でも、人を襲うような狂暴性がでるなんて言ってなかったな。 月夜に森をさまようのは、気分がよくなるからだって」
こたえた男の大声も、ライアンの上をとおっていった。
「なんだよそれ、ハイになるってことか?―― っていうか、会話する距離じゃねえだろ。おまえらの間の距離」
ライアンのまえにをゆくケンが、ばかにしたように鼻をならし立ちどまる。ふりかえってあとに続く二人の距離をみてから、先頭をゆく男に大声をだす。
「おい、ウィル、おまえがはやすぎんだよ」
ずいぶんとはなれた斜面をすすむ男に大声をだすのに、ライアンの後ろにいるルイが、めずらしくいいこと言うな、と驚いた顔をする。
「あいつ、雪山しらねえんだろ」
ケンがようやく立ちどまった男をゆびさす。