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『狼男』に会う立場
それっておかしくね、とザックが手をあげた。
「その、『狼男』が、勝手に外にでて食い散らかしてるってことになるだろ? 閉じ込められてるんじゃねえの?」
「・・・鍵をかけて閉じ込めてるわけじゃない。ただ、薬を飲んでるあいだは出歩くほどの元気はでなかったけど、おれが、《秘薬》の量を減らしてからは、彼はすごく元気になってる」
「その薬を減らすっていうの、タタとかいうじいさんとか、あんたのママにみつかっておこられないわけ?」
「タタも母さんも『狼男』には会わない立場だから、いまがどういう状態かなんて知らないんだ」
この返答に、はなしをきいていた男たちみんなが困惑した顔をみかわす。
その反応に、テリーがあわてたように、あー、だから、と言葉をさがす。
「じゃあ、《秘薬》を与える者だけが、狼男に会うってことか?」
ルイのことばにあかりをみつけたような顔でうなずいた。
「そうそう。そうだよ。いまはおれの役目だから、おれが会って薬をのませる」