118/260
『狼男』に励まされ
自分をみる男たちがなにもいわないのをみて、不安そうにライアンにその目をむけた。
「テリー、大丈夫だ。 彼らは、その、『狼男』のはなしを信じていて、ぜひ、・・・教会にはいってじかに『狼男』に会いたいって言ってる」
驚いたようにみひらいた目とはぎゃくに、ぎゅっと口をとじた男は、こきざみに首をふり、それは無理だ、と雪のつもった足元をみた。
「 あんたらが会ったら、呪いがかかる。・・・それに、会わせたらかあさんがきっとすごく怒るだろう。またおれが、かあさんのいうことをきかなかったって。 ・・・でも、おれはライアンに『狼男』のことを話せて、すごく気持ちが軽くなったんだ。勇気をもって話せたのは、『狼男』に励まされたからだけど、あんたらが、彼に会うのはむりだ」
「はげまされた?おどされたの間違いじゃなくて?」
ウィルの質問に、顔をあげたテリーは眉間をつめて目をとじた。
「 ・・・ちがう。かんちがいされてる。 『狼男』は、その、とても知恵がある人で、静かで、ひどい扱いをうけいれているんだ」