110/260
ファイル№16 ― 理由
ファイル№16 ― 理由 ―
ロビーが驚いたのは、おっとりしたしゃべり方のルイが手際よく料理したことと、警備官たちがライアンと正体不明の獣について『真剣』にはなしあいながら、明日からの予定をたてたことだ。
ロビーとルイでつくった夕食はきれいにたいらげられ、金髪をはらいながら「うまかった」と感想をもらしたウィルは、お礼にコーヒーをいれようとロビーに豆のありかをきき、ジャンとザックはさっさと食器をあらいはじめた。
どうやら、こうやって大勢で食事をとるはなしあいに慣れているようだ。
ロビーのすむ家には台所に六人がけのテーブルがあり、そこが満員になったのは今日がはじめてだった。
冷凍庫にある肉が、一度でこんなに減ったのも。
コーヒーカップがたりなくて、ライアンの家からザックが運んでくる。
暖炉前のすきなところに座ってはじまった雑談に、ロビーもまじる。
こんな大勢といっぺんにしゃべったのも、ひさしぶりだった。