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『すごく いい』建物
ああ、とうなずいたライアンの横に、ようやくバートもよってきたのでファイルをわたす。
「 教会にとじこめた『狼男』が死んでいないっていうのは、ダゲッドム族みんなの共通認識だったようだ。あとでテリーにきいてもらえばわかるが、口にだすのはタブーだけど、彼も小さいときから知っていたってはなしだ」
「これが、教会か?」
バートが、ライアンにわたされたファイルの間から、写真をぬいた。
「うわお。すごくいいな」
ルイが楽しそうに首をのばす。
そこには、真っ白な雪の中に、指の先ほどになった鉛筆をとがらせて何本もあつめたような独特なかたちの建物がある。
とがった部分は屋根のようだが、ところどころでつながったようになっているし、鉛筆のような何角形かのかたちをした建物どうしの並び方は、不規則だった。