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『狼男の呪い』
「 当時の保安官が調べたことがかいてある。読んでもらえばわかると思うが、《爆発》といっても、火薬じゃあなかった。焚火の炎が、一瞬大きなものに燃え上がったらしい。だけど、その火が燃え移って焼死したひとたちが五人。火傷が原因だとおもわれるそのあとの死者が八人」
「十三人?ひどいな」
ジャンの感想に、ルイもうなずく。
「火薬じゃなくて、なんでそんな燃え上がった? 油か?」
「それが、 ―― 生き残ったダゲッドム族たちは、『狼男の呪いだ』って口をそろえた」
狼男のねえ、とルイがわたされたファイルに目をおとす。
「ほんとだ。一人ずつよびだしてききとったのに、みんなおなじ返事だったって、残念そうにかいてあるよ」
「 ってことは、ダゲッドム族の人たちは、自分たちが教会にとじこめた『狼男』の呪いを予想してたというか、おびえていたってことか?」
ジャンもほかのファイルをひらき、ヤギがこどもを産まないのは『狼男の呪い』だと騒ぎがおこったという記録をルイにみせる。