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サマンサとアマンダ
「 このころのダゲッドム族で、すでに六家族しかいない。こどもはサマンサと、サマンサの従妹のアマンダの女の子ふたりだけだ」
写真のなか、身をよせてこちらをにらむ二人をさす。
「 まあ、『こども』といってもサマンサとアマンダはかなりはなれていて、このとき七歳と十六歳ってことだ。だが、もちろんこの年齢も正確じゃない」
「アマンダは今どこだ?」
バートの質問にライアンは間をあけた。
「 ・・・十八のとき雪山で死んだ。 ―― と、あるが、遺体を検分した記録がない。もしかしたらまだ当時、こちらの捜査がはいれなかったのかもしれないな。だからこっちの死亡証明書もないが、そんなこといったら、この写真にうつってるほかも全員、死亡証明書はない」
ダゲッドム族はダゲッドム族のやり方で亡くなった者をみおくる。それはいまでもかわらないが、『みおくる』のに現在は、州の法律にのっとり国の医師免許をもった医者の死亡証明書が必要になっている。