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使えるけど使いたくない
おどろいたロビーが、手当てをしなきゃ、とさわぎだすが、ザックが平気だよ、と言ってケンの左手をたたいてみせる。
傷をながめたウィルが、つまらなさそうに前髪をはらい、ちょっと準備だけしておこうかな、と荷物をさぐり、重そうな黒い袋をだした。
その中からとりだされた銃をみて、ロビーは面食らったようにくちをあける。
「・・・それ、・・・つかえる銃ですか?」
「許可証ってことなら、無い。だけど、それは関係ない」
「はあ?いや、それ、博物館とかにある種類ですよね? それを、使う気ですか?」
ウィルは大きなため息とともにこたえた。
「まあ、これを、『使わなくちゃならないような場面』になったらね」
ぼくだって、できればつかいたくないけど、と銃の解体をはじめた男の横で、二人の警備官たちも、それぞれかついできたライフルをだし、手入れをはじめた。