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うずく
申し訳ございません。百こえました
「ぼくは、持っていません。 ここに来てからアニーたちに習いましたが、どうにもへたくそで、それなら普通の銃だけ持ってた方がいいって」
「まあ、追いはらうだけなら、それも一案だよ」
ウィルは暖炉をのぞきこみ、火をつけるかと家主にきく。
家にはいってすぐヒーターはついていたが、暖炉には、ロビーもいつも火をつけていたのでつけてくれとたのむ。
「火をたくのはいいと思うよ。『獣』はたいてい、火をこわがるからね」
「『獣』だったら、暖炉だけでおいはらえるわけだ」
ケンがウィルの言葉の裏をよんだようにわらう。
そう『獣』なら問題ないね、と火かき棒をもどした男は、ソファになかよく座っている二人をみてきいた。
「 ケンの手の傷、どうなった?」
すぐにザックがケンの手をとりあげてのぞき、げ、と口端をさげた。
「ひらいてるけど、痛くねえの?」
「痛くはねえけど、 ―― うずく」
ウィルにも、その傷が血をふいたように赤黒くなっているのがみえた。