落ち着く家
ロビーの家にはいったザックは、ちょっとじぶんの育った家を思い出し、母親を思い出してしまった。
きれいに整えられた家だが、小さな花瓶にドライフラワーがあったり、木の実でつくった壁飾りがあったり、写真たてがたくさんあったり。
その雰囲気に似合わない自分の荷物を部屋のすみにおいて、落ち着く家だとほめると、ロビーは顔を赤くして、雑多だろう?と恥ずかしそうに肩をすくめた。
「いや、おれの育った家みたい」
「これでソファにキルト地のカバーがかかってたら、ノアの家に似てる」
ソファに陣取ったザックとケンのこたえに、ひどく照れたようにわらったロビーは、台所にゆき、お湯をわかしはじめた。
立ったままめずらしげに部屋をみまわすウィルに、きみの家とはほど遠いだろう?といいながら、コーヒーをいれる。
ウィルより先にケンが、あいつホテル暮らしだし、部屋には何もねえぜ、とこたえる。
ロビーがびっくりしたように、ホテルにずっと住んでるの?とふりかえった。
まあね、とこたえる貴族様は、近くの低い棚にならべられた写真立てをのぞきこみながら、きみはライフルは持ってるの?と台所をふりかえる。