狼狩り?
片眉をあげ、いくぶんあきれた顔をむけたケンのかわりに、「『狩猟合戦』ってことだな」とルイが教える。
「え?・・・じゃあ、あいつらも?」
「レオンに確認したいが、もう携帯電話はつかえない」
次の駅で公衆電話をかけてみる、とジャンは窓の外をながめる。
いつの間にか、バーノルドの森とはちがう色味の、暗い森がむこうまでひろがっていた。
向かいで腕をくんで目をとじたままの班長の足を副班長は蹴り、なにか言うことは?と意見をもとめる。
しかたなさそうに眼をあけた男は、「『狼』の可能性があるからだろ」と班員たちをみた。
「―― スーフ族なら、狼を狩るのを認められてるからな」
それってさあ、とザックがうれしそうにみんなの顔をみまわす。
「やっぱりおれたちが頼まれた仕事って、『狼狩り』になるってことじゃねえの?」
「だったらすこし楽しいかもな」
ルイがすこしも楽しくなさそうに言う。
「スーフ族の『狼狩り』を見学させてもらうとかね」
ウィルも適当な感じで口にして、窓のそとをながめる。
「なんだよ。やっぱ、ちがうのか・・・」
これには誰もなにも答えなかったが、みんながおなじ考えだったのは、いうまでもない。
列車の汽笛が鳴り響き、次の駅が近いことをしらせた。
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