※※ 夜明け と ファイル№01
こちらは、『おとぎばなし』シリーズの『剥奪』と、《同じ場面》からの始まりとなっておりますが、まったく何の関係もない『A班ファイル』シリーズのはなしとなっております。まったく別のはなしとしてお読みください。 警察官の裏方をする警備官たちのはなしとなっております。毎度設定ゆるふわ。うすめでごらんください。 保安官のレオンから依頼をされ、警備官たちはバーノルドの森とつながったステラの森をかかえる雪山へと、正体不明の獣狩りへとゆくことになるのだが、そこには昔から『狼男』の伝説があって。。。。という、はなし。今回は依頼の解決はしますが、事件としての解決はやっぱりありません。 なぜなら ⇒ 魔女のいる世界だから。
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顔をおおっていた手のせいで、この世が暗かった。
なんだかとてもいやなにおいがする。
そっと手をはずせば、暗かった場所があかるくなる。
太陽だ。 陽がのぼってる。
「 ああ 」
もれだした息のようなかすれた声は、自分のものだ。
声がでるのにほっとした。
が、
見下ろした両手は、 ―― 血まみれだった。
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ファイル№01 ― パンフレット ―
「 『 魔女はいませんが、野生動物がいます。
鹿やリスなどのかわいくおとなしい動物たちにもし出会ったときは、触らないでください。 もちろん、脅かしたり傷つけたりなんてして、捕まえようとしないでください。その場合は保安官にあなたが捕まってしまいます。
キツネやイタチなど、中型の犬ほどの大きさの哺乳類には近寄らないでください。
また、本物の犬をみかけた場合、それは《野犬》です。至急このパンフレットにある番号で、保安官にご連絡を。
そうして、もし、犬いじょうの大型哺乳類をみかけたら、それは《狼》かもしれません。
あなたはきっと、出会えた幸運に興奮し、もっと近づいて写真をとりたくなるでしょうが、それはやめて、保安官をよんでください。
この森では、《狼》をおいかけて毎年死亡者がでています。』 」
パンフレットをよみあげたザックは横にいるルイをみた。
「 だってさ。《追いかけて死亡》って、知ってた?」
「うわさでね」
眠たげな顔でずっと窓の外を眺める男がのんびりとかえす。
「そういや、おれ、狼みたことあるな」
むかいの二人掛けの椅子を有効につかい眠っていた、黒髪短髪の男がいきなり口にした。