7、お家デート?
.....。
☆(佐竹伸晃)サイド☆
俺を後輩が好きだという。
その後輩の名前は(狭山渚)という女の子だ。
友人から.....促されて恋心を自覚した。
俺はその子を見ながら歩く。
すると渚は「先輩」と聞いてくる。
「.....どうした?渚」
「.....私は.....どうしたら良いんですかね?」
「どうしたら良いとはどういう意味だ?」
「.....私は先輩を好きになって迷惑じゃないですか?」
「決してそうは思わないな。お前が俺を好きになってくれて嬉しいよ」
「優しいですね。先輩は変わらず」
「優しいんじゃないよ。これは当たり前の事だ」と告げながら渚を見る。
すると渚は赤くなりながら「ふふ」と笑う。
俺はその渚を見ながら「.....だけどそう言いながらもゴメンな。.....俺は.....今は本気で誰と付き合えない」と答える。
渚は「大丈夫です。先輩。.....例えそうであっても私は先輩への恋心は冷めないと思います」と言ってきた。
「.....お前は優しいな。.....夢洲に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい」
「.....先輩」
「.....何だ?」
「夢洲さんの事を忘れさせるぐらいに楽しませます。.....先輩を」
俺はその言葉に赤面する。
それから渚を見た。
渚は髪の毛で顔が隠れていたがメチャクチャに恥じらっている様だ。
「もう恥ずかしくて先輩に抱きつけませんが」と呟く。
だけど直ぐに「でも」と言葉を発した。
「私は.....貴方が好きです。.....だから抱きつけない代わりに先輩を大切にします」
「.....お前な。恥ずかしいセリフばかり.....」
「私はその分本気ですしね。恥ずかしいセリフも.....出ますよ。当然。.....でも先輩。今までの事があるからそんなに恥ずかしくないでしょう?」
「無茶言うな。メチャクチャ恥ずかしいわ」
「私は平気です。だって先輩を.....」
だがその言葉を言った時。
渚は思いっきり赤面した。
それから「でもやっぱり恥ずかしいです」と言葉を発する。
俺は苦笑いを浮かべながらそのまま駅前を歩いて見ていると.....目の前から人影が現れた。
それは.....。
「.....薮嶋じゃないか」
「やあ。.....情けない童貞君じゃないか」
「ふざけるなこのクズ。死ねよ」
「僕はクズじゃない。可哀想な女の子を救ったまでだ」
「.....」
俺は静かに怒りを持ちながらクズを見る。
するとクズは「ところでその女の子は新しい彼女?」と聞いてくる。
俺は「彼女は後輩だ。.....お前も知っているだろ」と言葉を発する。
クズは「ああ。そうだったね。君にはお似合いかもね」とコソコソ隠れる俺の後輩を見る。
「.....で?何の用事だ」
「いや。偶然見かけたから声をかけたまでだ」
「.....そうか。じゃあ1万回ぐらい今から死ね」
「そうもいかないよ。ははは」
そう言いながら見ていると他校の女子が「薮嶋君。誰?」と聞いた。
俺は呆れて額に手を添える。
それからその場を立ち去った。
もう耐えられない。
アイツと友人だったのが.....恥だったな。
そう思っていると横に居た渚が聞いてくる。
「.....先輩。まさか」
「そのまさかだろうな。多分浮気を隠す様にはしているんじゃないか」
「.....信じられないですね.....」
「もう呆れてものも言えない。.....取り敢えずゴミはゴミって事だ」
「汚いですね.....」
そう言いながら渚は悲しげな顔をする。
俺はその渚を見ながら「あー。まあなんだ」と言葉を発する。
それから頬を掻きながら渚を見る。
「渚。俺の家に来てみないか」と聞いた。
「.....え?先輩の家.....」
「そうだ。不愉快な思いをさせた分.....と今日の付き合ってくれたお礼だ」
「い、良いですけど.....」
「じゃあ決まりだな。.....今から行こうぜ」
渚は目を見開きながら胸に手を添える。
それから赤くなってから唇を噛んだ。
そして何を思ったか。
俺の腕に自らの腕を回してきた。
「な、何をしている!?」
「で、デートですよね?おうちデート」
「違うぞ!?お家デートじゃない!付き合ってないだろ!」
「そうですか.....?」
潤んだ瞳を見上げてくる渚。
俺はその姿にドキッとしながら胸に手を添える。
それから息を整えながら「取り敢えずデートじゃない」と否定をする。
そして俺は腕を絡めてくる渚を見た。
「.....だけどまぁいいよ」
「.....先輩。えへへ。ありがとう」
それから俺達はそのまま恋人でもないのに腕を組みながら俺の家に帰って来た。
そして玄関に上がってから渚を見る。
渚はニコニコしながら「その。お邪魔します」と控えめに挨拶をして上がった。
そうしてから「あ。先輩。お家の人は.....?」と聞いてきたので「許可は貰ってる。.....もう直ぐ母親も帰って来るが今は2人だけだ」と言葉を発した。
すると渚は「ふぁ?」という感じで反応する。
「じゃ、じゃあ.....この家には2人きり.....」
「黙っていたけど!意識してしまうから言うな!」
「え?意識.....」
「言葉のあやだ!」
「意識.....ふへへえ.....」と反応する渚。
それから俺を見てきた。
ニヤッとしながら。
な、何を企んでいる.....?
.....。