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5、思い出のプリクラ

.....。

☆(佐竹伸晃)サイド☆


多分だけど.....アイツは。

俺の隣を歩いている彼女は(恋)なるものを自覚していない。

その事に俺は考え込む。

どう説明したら良いのだろうか。

俺を好きになっても仕方がないと素直に説明した方が良いのだろうか。


でも泣いてしまったら?

だけど恐らく俺はこれから先も孤独を求める。

浮気された分だが。

だから隣に彼女が居るのが.....想像できない。

俺は考えながら彼女を見る。

渚を。


「先輩、先輩!これ.....可愛いですね」

「ああ。人気キャラらしいぞ。ネット上ではな」

「そうなんですね!わー.....欲しいけどお金がないですからね」

「.....」


人気キャラとコラボした700円ぐらいのシャーペンだ。

俺はそのシャーペンを受け取ってからそのまま買いに行く。

渚は「へ!?」という感じになる。

その渚に「俺に付き合ってくれたお礼だよ」と告げながらお金を払ってから渡す。


「もー.....先輩。お金がもったいない.....」

「.....俺はそうは思わないな。お前の為なら」

「.....分かりました。大切にします。.....大切に.....使います」

「お前は本当に良い子だな」

「良い子じゃなくて当たり前の事です」


正直こういう子だったら良かったのにな。

アイツも.....夢洲もだが。

思いながら俺は苦笑いを浮かべながら渚を見る。

すると渚は胸にシャーペンを押し当てるのを止めてからそのまま俺に向いてくる。


「あ。先輩」

「.....何だ?」

「葉っぱがくっ付いてますね」

「ああ.....歩いて来たしな。それは確かに」


「届かないのでしゃがんで下さい」と言われたので俺はしゃがむ。

すると渚は「よっこいしょ」と言いながら背伸びして俺の頭の葉っぱを取った。

そして「はい。.....これでとれ.....」とそこまで言ってから膝を曲げている俺の顔を見てくる渚。

それから目を丸くしてボッと赤面した。


「.....な、渚?大丈夫か?」

「.....はい.....そ、そうですね。やっぱり何かおかしいです」

「.....」

「熱があるみたいな感じですね。.....風邪にでもなったかの様な」

「.....そうか」


俺はそっぽを見ながら複雑な顔をする。

すると渚は「先輩?どうしたんですか?」と聞いてくる。

俺は「何でもないよ」と返事をしながら渚を見た。

それから「また店を見て回ろうか」と言う。


「はい。.....でも先輩。今度は何も買わなくて良いですからね?貯金大事」

「は、はい」

「全く。気軽に買わない。.....これ大切ですからね。お金が勿体ないです。さっきも言ったけど。.....でも感謝しています」

「上げて落とす感じかな?」

「先輩。そういう感じじゃないです」


渚は頬を膨らませて俺を見る。

コイツはコイツなりに心配しているのがよく分かる感じだ。

俺は考えながら渚を見た。

すると渚は「あ。ゲームセンター」と言葉を発した。


「ちょっと中を覗いて良いですか?」

「ああ。構わないが.....どうした?」

「牡丹が言っていました。新しいプリクラがあるって」

「.....そうなんだな」

「はい」


そして子供の様に駆け出して行く渚。

俺はその姿を追いながらプリクラコーナーに辿り着く。

それから見上げると確かに新作のプリクラ機が。

その感じに「ふむ」となる俺。


「先輩。撮らなくて良いですからね」

「.....あ、はい」

「.....さあ。行きましょう」

「.....」


名残惜しそうな感じを見せる渚。

俺は堪らず「撮るぞ」と声をかける。

渚は「もー.....お金が.....」と声を発するが。

そんなもん無視だ。

俺のせいにしようか。


「撮りたいからな。俺が」

「もー.....なら良いですけど」


そして俺達はプリクラを撮る。

それからプリクラを見てみると.....彼氏彼女の様だった。

それを半分に切ってから渚に渡す。

すると渚は「.....」という感じになった。

ん?


「どうした。渚」

「.....いえ。なんか.....ハッピーだなーって」

「俺達の今が?」

「そうです。.....あ、いえ。私が.....」

「.....成程な」


俺は渚を見る。

渚はジワジワと涙を浮かべていた。

俺は衝撃を受ける。

すると渚は「え、えへへ。すいません」と否定しながらプリクラを鞄に仕舞う。

その姿に.....何故か知らないが体が動いた。


「.....へ!!!!?」


気が付くと何故か渚を抱きしめていた。

俺はハッとしてから数秒してから離れる。

「すまん!ついうっかり!」と言い訳する。

っていうか初めてじゃないか?これ。

俺の側から抱きしめる事が。


「.....い、いえ。かなりビックリしたけど.....嬉しいです」


渚はこれまで見たことの無いぐらいに耳まで真っ赤になっている。

その姿を見ながら俺は後頭部を掻いた。

全く何をしているのか俺も。

(いきなり女子を抱きしめるなんて.....頭おかしい)

と思いながらだ。

.....。

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