3、お前とは付き合えない
.....。
☆(夢洲なぎさ)サイド☆
私は.....というか。
何故か彼氏が冷たい気がする。
だから彼に冷めていた時。
私に差し伸ばす手があった。
その手を握ってしまい。
今は後悔と自責の念に囚われている。
「.....」
浮気と言えると思う。
そして悪人は私だと思う。
私は最低な人間だと思える。
どうしたら良いのか分からないが.....深みに嵌っている。
とにかく私はこの泥を取り除かなければならない。
もう既に全てが遅い気がするが。
私は思いながら廊下を歩いていると.....伸晃に会った。
その真顔の顔を見ながら何か青ざめる。
それから「どうしたの?」と聞いてみる。
「.....いや。何でもない」
そう答える彼。
私はホッとしながら「じゃあ移動教室だったよね。行こうか」と声をかける。
すると彼は「.....ああ」と数秒遅れで反応する。
その顔を見ながら私は歩き出す。
そうしていると彼が「なあ」と聞いてきた。
「.....こんな場所で言うのも何だけど。もう別れよう。俺達」
廊下の誰も居ない場所でそう言われて心臓を冷たい手で撫でられた感触を覚えた。
私は「え.....何で」と聞くと。
伸晃は「お前のやっている事は黙っておくから。.....もう別れたい」と言ってきた。
思いっきり青ざめた。
唾を飲み込む。
「ま、待って。1回きりだったの.....お願い!」
「.....ならお前は中古品だよな?それだったら。.....そして気が付いてないのか。それが1回でも最低な真似だって事に」
「わ、私は.....その」
「これ以上付き合ってお互いに何の得策がある?お前がそんな真似をするとは思わなかったし」
「全部知っていた.....の?」
「俺はずっと機会を伺っていたんだ。証拠集めに奔走していたっていえるかもな」
そして私に向いてくる伸晃。
それから盛大に溜息を吐いてから「もう無理だ。戻れない」と言ってくる。
私は思いっきり血の気が引いて青ざめる。
そして「黙っておいて。お願い」と縋った。
すると伸晃は「ああ。まあ一応お前の事は知ったこっちゃないし黙っておく。だけどこの関係は終わりだ」と言葉を発した。
「.....伸晃.....」
「.....最悪だよ。ガチでな」
それから去って行く伸晃。
私はその事に教科書を落としてから泣き始めた。
そして暫くしてから.....(なんて馬鹿な事をしたのだろうか)と反省した。
まあ全てがもう遅いけど。
「.....私は最低な野郎だなぁ.....」
そうしていると反対側から歩いて来た薮嶋浩一郎が話しかけてきた。
心配げに「大丈夫?」という感じでだ。
私はその言葉に「.....うん」と返事をした。
それから私は涙を拭ってから「私はもう貴方しかいない」と告げる。
すると薮嶋は「そうだね。僕しか居ないよねまあ」と笑顔で言ってきた。
「あんな男の事はもう忘れて。僕に頼りな」
「浩一郎.....」
「僕は裏切ったりはしない。.....悲しくもさせない」
「うん.....」
そして私達はそのまま視聴覚室に向かった。
その中で.....薮嶋が醜い笑みを浮かべていた気がしたが。
気のせいだろうと私は首を振った。
それから歩き出す。
☆(佐竹伸晃)サイド☆
どいつもこいつも畜生だと思う。
校内新聞でも暴露してしまえば楽だとは思うけど。
だけど暴露するのも面倒だ。
それに俺にも悪いとか言われたらどうしようと思って言えない。
根性無しだな。
火山が爆発して溶岩が俺に襲いくる感じだ。
「.....」
授業が終わってから歩いていると背後から抱きつかれた。
まるでぬいぐるみの様に。
それは渚だった。
「セーンパイ」と言いながら笑顔になっている。
さっきの恥じらいはどうしたのだ。
「渚。さっきの恥じらいはどうしたんだ」
「さっきはさっきです。今は今です。.....えへへ」
「.....そうか。.....で?何用だ?」
「はい。慰めに来ました」
「.....は?」
「そう。.....慰めです」
何かそれ.....エロく聞こえる。
俺は即座に「女の子が簡単に慰めとか言うな」と渚の額をチョップした。
それから「あう」と言いながら涙目で前髪を弄る渚を見つめる。
そして「まあでも渚。ありがとう。だけど今は大丈夫だぞ」と言った。
すると渚は即座にどっかから飲み物を出す。
「パイセン好きのカルスピです!」
「.....は?」
「今は期間限定で生乳が入っていて.....とってもねっとりして濃厚で.....美味しいんです」
「おい。濃厚言うな。ねっとり言うな」
「へ?はい?」
確かにカルスピは好きだけど。
コイツ分かってやっているのか分からないがエロいんだよ。
俺は盛大に溜息を吐きながら「でもありがとうな」と告げる。
「それは慰めの為に買ってきたんだろ。金払うよ」と言いながら。
だが渚は「いいえ。要らないです。これはあくまで慰めの為ですから」とdon'tという感じで首を振りながら俺に両手を差し出す。
だがしかし.....。
「.....お前の家ってこういうの買う余裕があまりない貧乏なんだろ」
「確かにそうですね。.....でも要らないです。今日は私が進呈したかったので」
「.....」
「.....先輩?」
「.....ならこれのお礼だ。お金の代わりに.....放課後に付き合え」
そして命令を渚に言い渡す。
渚は「ふぁ?」という素っ頓狂な顔をしてから俺を目をパチクリして見てくる。
俺はその顔を見ながらニヤッとした。
こう彼女と別れた後だと何だか胸糞悪いから。
派手に暴れてやろうじゃねーか。
.....。