<93>動機
寛ごう…と思うのは心理の働きによる。この働きは人の行動の全てに及ぶ。犯罪学ではこれを動機と呼んでいる。要するに、人の行いの全ては[心理の動き=動機]に介在するといっても過言ではない。軽犯罪[ポイ捨てetc.]から重犯罪[連続殺人etc.]に至るまで、犯罪が絶えないのは行動犯のみが捕まって裁かれているからだが、目に見えない心理犯が捕らえられない理由にもよるようだ。ということは、巷は見えない犯人に満ち溢れている・・ということになる。大怖っ!^^
桂木は美味いラーメンが食べたいと思った。ところが、葛城の近くにいたスキマ風は桂木の体内に潜入し、その心理を読み取った。
『なになに…。ラーメンが食いたいだって? 俺だって食いてえや。よしっ! ちよいと邪魔するか、へへへ…』
そう思ったスキマ風は桂木の腹具合を悪くした。
「妙だ…。さっきまで腹が空いてたのに、急に腹が痛くなってきたぞ…」
桂木は急いで近くのトイレへ駆け込んだ。
「ざまぁ~みろっ! へへへ…」
スキマ風の動機はラーメンを食べて寛ぎたかったというただそれだけのことだった。何も桂木でなくてもよかったのである。これが通り魔的な犯罪なのである。
世の中は見えない蠢く動機に満ち溢れています。皆さんもスキマ風に刺されないようご用心下さい。刺されれば、ふと、怪しい行動をするようになります。いいことをしようとする動機は周囲に寛ぎを与えていいんですがね…。見えない動機は怖いっ!^^
完