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<91>天気予報

 (28)でも書いたが、もう少しマクロ[巨視]的な見方をすれば、天気予報で一喜一憂するのも(くつろ)ごうとする気分を損ねる要因となる。

 逆波は朝からブツクサと妻に当たるでもなく怒っていた。原因は朝食前に居間で点けたテレビの天気予報にあった。

『降るかも知れませんし降らないかも知れませんが、一応は雨傘を準備なさってお出かけになった方がいいかも知れませんね』

『なるほど!』

「何が、なるほど! だっ! 降るのか降らないのか、はっきりしろっ!」

 テレビ画面に向かって怒っても仕方がないのに、逆波は怒っていた。

「あなたっ! どうしたのよ?」

 大声に驚いた妻がキッチンから早足で居間へ飛び込んできた。

「いや、何でもない…」

 バツが悪い逆波は小声で(ぼか)した。休みの今日は朝から寛ごう…と楽しみにしていたのが、出だしから(つまづ)いてしまった訳だ。^^ こりゃ幸先が良くないぞ…と逆波のテンションは急下降した。今日は(あらかじ)め申し込んでいた釣りの現場実習があったのである。降るか降らないかで、川の水嵩も状態も変化する。場合によっては別の日に順延されることも予想された。そんなことで、逆波としては気が気ではない。寛ぎのひとときを脳裏に描いていた逆波としてはサッパリだった。そうは言っても仕方がない。逆波は予定どおり家を出た。

「逆波さんっ! 天気は回復するようですよっ! よかったですねっ!」

 釣り講座で知り合った男が朗報を逆波に耳打ちした。

「そうですかっ!」

 逆波は思わず喜んだ。よく考えれば、朝一の天気予報は正反対だったから、逆波は朝の天気予報が無性に腹立たしくなった。しかし、楽しみにしていた釣りの現場実習は抜歯される運びとなったから、釣り講座が開かれている会館前の集合場所からバスに乗り込んだ逆波のテンションは、ふたたび高まった。

 寛ぎの気分を得るには、天気予報で一喜一憂しない方がいい・・というお話でした。よかった、よかった!^^


                  完

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