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<75>落胆
落胆しているときは、同じ寛ぎの状況であっても、さほど寛ぎ気分は盛り上がらない。と言うか、落胆している内容が心を離れず、まったく寛げないかも知れない。ということで、寛ぐ場合は心が落ち込んでいないときにしよう、という話になる。^^
進は落ち込んでいた。母親に夏休みの宿題を諄く言われたのである。まあ、夏休みの中盤まで遊び惚けていた進にも問題はあったのだが…。そんな中、待ちに待った地元の花火大会が開かれる日が迫ってき。例年の行事で、小規模ながら開催されている大会だった。終わったあとは、青年会や婦人会が奉仕事業として行っているうどんが町民に振舞われるのが常になっていた。進も楽しみにしていたのだが、今年は状況が違った。
「来年は受験なんだから、今年はしっかり宿題をやってしまいなさいよっ!」
母親に釘を刺された進は、落胆しながら一杯の美味そうなうどんを頭に描きながら、花火が打ちあがる空を眺めた。
「やっときゃよかった…」
落胆する要素を失くしておくことで寛ぎの気分は味わえるのです。^^
完