<74>安定感
寛ぎ気分に浸るためには、周囲の安定感が欠かせない。不安定な状況で寛げっ! と言われてもそれは無理な話で、いつどう転ぶか分からない不安定な状況下では寛げる訳がないのだ。また、そんな状況下で寛ごうなどと考えること自体、親馬鹿チャンリンなのである。^^
夏休みを利用して、家族四人でキャンプに出かけた家族は、キャンプ地へ到着し、テントの設営を始めていた。最近のテントは折り畳み式の簡易で便利な構造で、瞬く間に設営は終わっていた。風に吹き飛ばされないように固定すると、すでに設営は終わっていた。だが、それは甘かった。固定したはずのテントは固定されてなかったのである。固定のために30センチばかり打ちこんだ金属杭は砂地に脆く、テント内の荷物の重みでかろうじて安定しているように見えるだけで不安定だったのである。だが、そうとは知らない家族はバーベキューをしたりカレーやキャンプファイヤーを楽しみ、十分に寛いだあとグッスリ眠り込んでしまった。その深夜、突風が吹いた。だが、シュラフの中で熟睡する家族四人はまったく気づかず、朝になった。家族が起きたとき、テントは数メートル先の木立の奥へ飛ばされていた。ところが家族に怪我人はなく、笑い話で済んだのは幸いだった。
このように、不安定な状況下でも気づいていなければ寛げるのです。寛げないのは、不安定な状況を知っていて、それでも寛ぐ場合ということになります。^^
完