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<71>終える

 仕事を終えると(くつろ)ぎのひとときとなる。終えた途端、また次の物事を…となるのでは、人の身がもたない。^^ かくして、労働基準法という法律が人々の身を守るべく制定されている訳だ。

 とある工場である。

「玉袋さん、それ終わったら帰っていいよ」

「さよですか? まだ、残りの工程がもう少しあるんで…」

「いいです、いいです。どうせ急ぎの仕事じゃないし…」

「…なら、そうさせて戴きます」

 工場長の堀川が姿を消すと、玉袋はフゥ~と一つ、深い溜め息を吐いた。実のところ、玉袋の身体はここ数週間の工場仕事でかなり疲れていた。口にこそ出して言わなかったが、玉袋はゆったりと寛ぎたかったのである。

 切りがつき、その工程を終えたことで、玉袋は思わず、ホッ! とした。これで、取り敢えずは出荷日に間に合う…という目星がついたからだ。そろそろ着替えるか…と、玉袋が更衣室へ行こうとしたとき、交代勤務につく同僚の筋尾が通路を反対側から入ってきた。

「お疲れです、玉さん…」

「筋さん、ご苦労さんです…」

 二人はいつものように局所的な挨拶をすると、左右にすれ違って分かれた。玉袋は更衣室で作業服を脱ぎ終えると、タオルを片手にシャワ-室へと向かった。汗ばんだ身体をサッパリし、帰途につくのが勤務を終える者達の日常の流れになっていた。玉袋はシャワーを浴びながら、今日の一杯は櫛カツにするか、おでんにするか…と思案した。しばしの寛ぎを考える一瞬は、作業を終える工員達のささやかな幸せのひとときだった。

 人は仕事を終えることで、安定した寛ぎのひとときを味わえるという醍醐味があるのです。^^


                  完

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