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<62>人生

 人は何のために生まれたんだろう…と宮守は途轍(とてつ)もない考えを抱いていた。そんなことが誰も分かろうはずがないのを知りながらである。よくよく考えれば、金持ちにもなりたい、有名になりたい、出世もしたい、いい暮らしがしたい、美人の妻を(めと)りたい…と、いろいろな欲が浮かぶ宮守だった。だが、そうした欲を満たすために生まれてきた訳ではないぞ…と振り出しに発想を戻した。そしてついに、結論が出た。

「健康が一番か…」

 守宮の考えではこうなる。いくら欲を満たせたとしても死んでしまえばお終いだ…というものである。悟りの境地ともいうべきその結論に到達した瞬間、守宮の心に何とも言えないホッコリした寛ぎの気分が芽生えたのである。そのとき、妻の声がキッチンからした。

『晩御飯ですよ、お父さん!』

「んっ!? ああ、今行くっ!!」

 そう言い返したとき、守宮の心に、今日のオカズは何だろう? …という食欲がふと、守宮に湧いた。するとどうしたことか、つい今まで考えていた健康が一番…という思いがたちまち消え去り、人生はやはり美味いものか…という結論に変化したのである。居間の座椅子から立ち上がり、急ぎ足でキッチンへ向かう守宮から、寛ぎの気分は消え去っていた。守宮は美味いものが食べたい一心になった訳である。

 このように、人生は目先の出来事に左右されますから、ゆったりと寛ぎの気分になりたい方は、余り深く考えない方がいいようです。^^


                  完

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