<6>終える
物事を遣り終えれば達成感が胸中に漲る。それとともに寛ぎ気分がヒシヒシとやってくる。まあ、ヒタヒタとも言えるのだが…。^^
竹本は早朝から雑用に励んでいた。昨日、遣り残したほんの些細な雑用が頭の片隅に残り、昨夜、眠れなかったのである。これではどぉ~しようもない…と寝室から出たまではよかったが、はて何をしようとしていたんだ、俺は? とド忘れしてしまった。これではどぉ~しようもないどころか、サッパリである。^^ 朝が白々と明け始めた頃、喉が渇いたな…と竹本は出涸らしのお茶を淹れ、グビッ! と一気に湯呑みのお茶を飲み干した。すると、どうした弾みか、ふと、忘れていた雑用が頭に浮かび、思い出したのである。出涸らしのお茶が思い出させたのかどうか? までは分からないが、まあ、そんなところだ。^^
「そうそう!!」
思い出した途端、竹本の両脚は動き始めていた。それからしばらく時が経ち、遣り残した雑用を終えた竹本の胸中に達成感が石清水が湧き出るかのように溢れ出した。と同時に、なんとも言えない寛ぎ気分が漲ったのである。そのとき、竹本は、ふと思った。
━ そうか、一杯の茶が俺を寛がせ、ド忘れした遣り残しの雑用を思い出させてくれたんだ。遣り終えたから寛げるのか… ━ と。
もし出涸らしのお茶が出花だったら思い出せたのか? までは定かでない。^^
完