<52>ゆったり感
寛ぎ気分には、ゆったり感が欠かせない。先々にするコトがあれば、大なり小なりそのコトが潜在意識となって残り、寛げない・・とまあ、話はこうなる。^^
タクシー運転手の河寅縞男は片時も手放したことがないほどの菓子好きだった。手元に食べる菓子袋がないと、ゆったり感が生まれず、当然、寛ぎ気分にもなれなかった。菓子の種類は何でもござれで、手元に菓子袋があればそれでよかったのである。
とある日、河寅は一人の客を乗せ走っていた。信号待ちの間、左の助手席に乗せた菓子袋に左手を出し、バリバリポリポリと賑やかに食べる。
「すみませんねぇ~お客さん! 大きな音で、ボリボリ…」
「いや、別にかまいませんよ…」
客は、偉いタクシーに乗ったぞ…と一瞬、思ったが、そうとは言えず、スルー[受け流]した。
「ははは…癖ですわ、癖っ! と言いますか、習慣ですかね、習慣!!」
「はあ、そうなんですか…」
「車多いでしょ! 毎日ですと、フラストレションが堪りましてねぇ~! バリバリ…」
「ははは…そうですか、なるほど」
客は、勝手に堪れば…とは思ったが、そうとも言えず、笑ってスルー[受け流]した。自分はそうは思わないが…とも加えて客は思った。
このように、ゆったり感は人によって違いがあり、当然、寛ぎ感にも差が出るようです。^^
完