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<50>帰り道
目的を果たしたあとの帰り道ほど寛ぎ気分に浸れるものはないだろう。行き道は、目的を達成しなければならない…という緊張した思いもあり、到底、寛ぎ気分にはなれない。まあ、ただの旅なら、行きも帰りも道中やその行程を楽しめばいいのだから寛げもしようが、同じ旅でも、達成目標や達成目的を持つ旅なら、やはり寛げるのは果たしたあとの帰り道になるだろう。
堀辺はとある町へ旅に出た。旅といっても、その町にあるとある史跡の撮影旅だから、行き道はどうなるものか…と不安も抱えながらの旅だった。だが、撮影も無事終わり、帰り道の列車に乗った途端、えも言えぬ寛ぎ気分が堀辺の心に巡った。食べる駅弁も、どういう訳か無性に美味い。
『美味いっ!!』
堀辺は思わず心でひと声、吠えた。移り行く車窓からの景色を眺めながら、買っておいた茶を飲む帰り道の堀辺の満足感は、この上なかった。
フツゥ~の旅の帰り道は疲れるものですが、目的がある旅の場合は寛ぎ気分になれます。ただし、目的を果たした帰り道のお話ですが…。^^
完