<42>小忙(こぜわ)しい
小忙しいと当然、寛ぎ気分にはなれない。いや、なれないどころか疲れ果てるだろう。こんな生活は誰しも嫌である。人には寛ぎの時間が一日の上で必要なのである。その中には、言うまでもなく睡眠時間が含まれる。
鹿山は疲れ果てていた。疲れ果てた挙句、居間にドッカ! とへたり込むと、考えるでなく茶を啜りながら煎餅を齧った。煎餅は1パック200円で売られている鹿煎餅ではない。^^
『俺は寛げないのか…』
鹿山は小忙しい自分を分析するかのように、そう思った。今、自分が寛いでいることを意識することなくアホのように…。^^ 鹿山は小忙しいと感じることなく、長時間、寛ぎたかった。よぉ~~く考えれば、人は皆、一日という拘束時間の中で生きているのである。鹿山だけが小忙しい訳ではないのである。鹿山は思った。
『そうだっ! 小学校の夏休み前に考えた計画表だ…』
鹿山はコンパスで2つの円を描き、分度器で12等分した。午前と午後である。寛ぎ時間はココにして、アアしよう…コウしよう…と鹿山の脳裏に夢が膨らみ始め、いつの間にか寛ぎ気分が訪れた。
時間計画表が完成したとき、鹿山は机の上で眠り込んでいた。気づくと、朝は白々と明け、五時過ぎだった。その日以降、鹿山は作った時間計画表のとおり生活を始めた。すると、いつの間にか小忙しさが鹿山の脳裏から消え去っていた。
寛ぎ気分を得るには、時間計画を立てるのも一つの方法かも知れません。ただ、返って計画通りに生活しようとして寛げなくなる場合も考えられますが…。^^
完