<36>快適さ
真夏の最中、田所は快適さを求めて励んでいた。取り分け、快適さは励んで求められる性質のものではないことを知りながら田所は励んでいた。ある意味、天然の男である。^^ だが田所に言わせれば、少しでも寛ぎたかった・・ただそれだけのことだった。
「ったくっ! このクソ暑さは、払っても払っても追っかけてくるなっ!!」
腹立たしい思いが益々、体温を上昇させる。田所は思わずゴクゴクッ! と冷えたコップの水を飲み干した。
『まあこれで、取り敢えず…』
飲み干したコップをテーブルへ置いたときの田所の心境である。午後二時過ぎの気温は優に危険域の45度を超えているように思えた。そのとき、テレビ画面が突然、切り替わった。
「〇〇県に緊急避難情報が出ましたっ! 住民の方々は、ただちに冷凍施設がある各地域の避難用シェルターへ避難して下さいっ!」
『チェッ! 避難かよっ! 寛いで一杯は今日もダメだな…』
最近、毎日のように出る異常高温警報の緊急避難情報だった。田所が励んで求める快適さは無理に思えた。
未来の地球は快適さを求めて寛ぎたくても、寛げないかも知れませんね。^^
完