<35>ゆとり
寛ぎ気分を得る上で、ゆとりは欠かせない。時間を気にしながらバタバタと物事をして、寛げる訳がないのである。^^
帯川は時計を気にしながら、今か今かと店屋物の到着を待っていた。電話をかけてから、かれこれ半時間が経過しようとしていた。帯川の昼休み1時間の計算は、以下のようになる。
[1]ゆとりをもって美味い天丼を食べ終えたあと、寛ぐには、最低、20分は欲しい。
[2]デリバリーの配達が20分程度で早い場合は、20+20=40分だから、まだ20分のゆとりがあり、大いに寛げる。
[3]デリバリーの配達が30分以上かかる場合は、ほとんど、ゆとり時間がないから、ゆとりをもって10分ぐらい食べ、3時の休憩に残りを食べよう。
帯川は[1]、[2]、[3]のように計算したのである。ところが現実は計算通りいかなかった。
「もう40分は経ってるんですけどねぇ~!」
『妙ですな…。出たのは、もうかれこれ20分前なんですが…』
デリバリーのバイクが配達途中で故障し、配達中の店員はバイク屋で修理していたのだった。これでは配達される訳がない。ゆえに、帯川の[1]、[2]、[3]の計算は不成立となった。
ゆとりをもった計算をしたとしても、そのとおり物事が推移するとは限らず、必ず寛ぎ気分に浸れる保証はないのである。^^ 万が一を考えて、最悪の場合の別の手立ては考えておいた方がいいようです。^^
完