<33>努力 2
<32>でお話したように寛ぐには寛げる環境を整える努力が必要だが、環境を整える努力したからといって寛げない場合だってある。綿密に整えたが、ひょんなことで歪みが生じてオジャンなる・・という場合だ。これでは返って何も考えず、なるに任せた方が寛げるというものだ。いや、むしろ歪みが出てオジャンになったときの気分は寛ぐどころか気落ちする気分だろう。これでは、サッパリである。^^
旅から帰宅した鳥餅は、粘っこいアングリした顔で茫然としていた。
話は一ヶ月前に遡る。鳥餅は連休+特別休暇+有給休暇を利用して行きたかった遠隔地へ旅を計画した。努力して綿密な計画を立て、宿泊する旅館やホテルの予約も終えた。さあ、これで寛げるぞ…と、ホッ! と安息の息を吐いた。吐いたのはいいが、鳥餅はうっかりミスを犯していた。一年先の同月同日に宿泊予約をしていたのだ。そのことに鳥餅は気づいていなかった。
旅は順調に推移して、夕暮れとなった。鳥餅はそろそろホテルへチェック・インするか…と寛ぎ気分でホテルへタクシーを飛ばした。
「あの、今日、予約をしている鳥餅ですが…」
「はあ、鳥餅様でいらっしゃいますか…」
ホテルのフロント受付係はその日の予約客リストを調べ始めた。そして、しばらく調べたあと、首を捻った。
「妙ですね…。本日、ご予約されておられますお客様の中に、鳥餅様のお名前は見当たりませんが…」
「そんなバカなっ!!」
鳥餅は少し声を大きくした。
「しばらくお待ちくださいませ…」
受付係はパソコンのキーを弄り始めた。はして、賑やかに呵った。
「ははは…確かにございます。ですが、鳥餅様のご宿泊予約は来年の今日でございます」
鳥餅は何が、ははは…だっ! と怒りながらホテルのエントランスを出た。さて、そうなると、新たなホテルを探さねばならない。連休のこの時期に…と思えば、鳥餅のテンションは下がった。神の救いか、カプセルホテルに宿泊できたのは幸いだった。だが、寛ごうと努力してことがムダになり、鳥餅は旅気分どころの相場ではなかった。次の日、宿泊予定の旅館も来年の同月同日だった。旅は楽しめたが、宿泊がカプセルホテルでは戴けない。やがて、旅は終わり、鳥餅は帰宅した・・と話はこうなる。
旅から帰宅した鳥餅は、粘っこいアングリした顔で茫然としていた。
寛げる環境を整える努力しても、狂いが生じれば努力の甲斐なし・・というお話でした。 皆さん、軽くいきましょう、軽くっ! ^^
完