表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/100

<31>趣味

 人とは妙なもので、趣味に時間を費やしている間、(くつろ)ぎ気分を味える・・という性質を持つ。それが、傍目(はため)からは変に思えようと、本人にとってその趣味で寛げるのだから、他人がどうこう言う筋合いの話ではないのだが…。^^

 鳥目の趣味は好きな者同士の縁を纏めることだった。目ぼしい二人を見つけると、仲人をすぐ買って出て縁組させる・・というものだ。カップルが目出度く結婚へゴルインすれば、鳥目は寛ぎ気分を味わえたのである。この鳥目の趣味は町役場の誰もに知れ渡っていた。

「くっ付けの鳥目さんが来たわよっ!」

「こりゃ危ういっ! ガムテープを張るようにくっ付けられちまったら大ごとだっ! 退散、退散っ! おお、クワバラ、クワバラ!!」

 商業観光課へ近づく鳥目を見て、課員達は楚々と席を立ち、姿を暗ませた。入れ違えに鳥目は課内へ入ると、応接セットの長椅子へドッカ! と腰を下ろした。

「何だ…誰もいないじゃないか…」

 課員が鳥目から緊急退避したことを知らない鳥目は、呑気そうに課内のアチコチを見回した。そこへ運悪く、課長の皺川(しわかわ)が入ってきた。皺川は応接セットの長椅子に座る鳥目に気づいたが、時すでに遅し・・で、鳥目に気づかれた。

「やあ、皺川さん、お久しぶりです」

「ああ、鳥目さんじゃないですか。何か御用で?」

 環境保全課と商業観光課は、一見して関係ない部署のように思えたが、しばらく前、街の活性化を目的としたプロジェクトが開始され、担当課長が一堂に会したのである。そのとき顔見知りになった二人だった。皺川の趣味は山登りだったから、鳥目が調えたカップルを皺川が山岳ガイドとして山へ誘う・・という筋立てが出来ていた。二人の課長は、こうすることで寛ぎ気分になれたのである。

 世間は広く、いろいろな人がいますから、他人が寛げる変に思える趣味を、とやかく言わない方がいいようですね。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ