表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/100

<26>心配ごと

 心配ごとがあれば、とても(くつろ)ぎ気分にはなれない。当然と言えば当然の話である。^^

 熊川鮭男は、心配ごとで悩んでいた。突然湧いて出たその心配ごとはとある日の朝から始まった。いつものように起きた熊川は、着替えると洗面台で顔を洗って軽く顎髭を剃った。そのあと顔をタオルで拭くと歯ブラシにチューブ歯磨き[粘性の湿潤剤]を付着させ、歯を磨き始めた。そのとき熊川は、ふと鏡に映った自分の頭を見てしまった。毛が無い…と一瞬、熊川はアタフタとした。だが、よ~く見れば、無くもない程度に毛は生えていた。熊川は一応、安心した。一応、安心した熊川は歯を磨き終えると口を(すす)いで歯ブラシを洗った。そしてもう一度、鏡に映った自分の顔を右に左にと首を動かしながらシゲシゲと見つめた。頭の方へ視線を辿(たど)れば、やはり残り少ない頭髪が目についた。熊川は(くし)で残り少ない頭の毛を撫でつけ、整え始めた。そのとき、熊川の頭に浮かばなくてもいい心配ごとが、ふと浮かんだのである。

『全部抜けてしまう、なんてことはないよな。ははは…』

 熊川の脳裏を丸禿(まるはげ)になった自分の姿が一瞬、駆け巡った。熊川はその日以降、ベッドに入っても、風呂の湯舟に浸かっても、美味いものを食べても、寛げない日々が続いている。

 寛ぎ気分を阻害するようなつまらない心配ごとは、突然起こりますから、皆さん、呉々もご油断なきように…。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ