<22>雑用
独身、単身赴任者、妻に先立たれた者・・など、立場の違いこそあれ、一人暮らしの成人男子にとって家の雑用は何かと大変である。当然、諸事をすることにより、ゆとりの時間は減る。そうなれば、寛ぎに割り当てられる時間も比例して減る。要は、一人でアレもコレもは出来ないということだ。
霧山は家の雑用処理に今日も頑張っていた。他に頑張る家族がいない霧山にとって、自分が頑張る以外にはなかったのである。
『ふぅ~。ひとまず片がついたから少し休もう…』
額に出た汗を拭きながら霧山はそう思った。次の雑用は、片がついたものを整理することだったが、取り敢えず、汗を引かせて寛ぎ気分に浸ろう…と思った訳である。しばらく体を休めて茶を飲んだあと、霧山はふたたび雑用の続きに取り組み始めた。
昼前になり、ようやくその日の雑用を成し終えた霧山はねこれで今日は寛げるぞ…と思った。ところが、である。シャワーをして下着を変えた途端、新たな雑用がふと、霧山の脳裏に浮かんだ。霧山はその途端、今日は寛げんな…とテンションを下げた。
別に雑用をしなくても文句を言う人はない訳ですから、そんなに小忙しく雑用を処理する必要はないのです。ゆとりをもって雑用に臨めば、自ずと寛ぎのための時間は確保できるものです。^^
完