<21>和(わ)
寛ぎの気分が保たれるのは両者の間に和が存在するときのはずです。そのためには両者の間が平等でなければなりません。両者の平等が成立するためには、双方の間に均等の関係が保たれている必要があるでしょう。それは恰も、天秤上の左右の皿に乗せられた双方の関係に傾きがないことを意味します。少しでも両者の関係が上下に傾いていれば、和が存在しないことになります。和が存在しなければ、両者のどちらか一方が寛ぐ気分になれないことになります。^^
ここは、授業中のとある教室である。
「先生っ!」
「なんだい、馬木君?」
「聖徳太子は『和を以って尊しとなす』と言われたんでしょうか? それとも『和を以って尊しとなせ』と言われたんでしょうか?」
「ははは…十七条憲法の第一条か。いい質問だな。それは先生にも分からんが、木簡には、[以和為尊]と漢字四文字が書かれているだけでルビは振られていないそうだ。だから、どちらの意味にもとれるが、太子の人柄だから、令する方じゃない『和を以って尊しとなす』の方だと思うけどな…」
教師は黒板上に白いチョークで、以和為尊と書いた。
「分かりました…」
そのとき、教室内に見えない寛ぎの雰囲気が生まれた。
私もそのように思えます。^^
完