18/100
<18>味つけ
同じ食事でも味つけの違いで寛ぎ気分に違いが出るようだ。
黒崎は妻が作った夕食を食べながら妻を見遣り、ふと思った。
『三日前の方が美味かったな…』
不味くはないから、妻に文句は言えない。だが、三日前の同じ手料理は絶妙に美味で、黒崎の疲れは吹っ飛び
寛げだのである。ところが今日の出来は、同じ料理とはとても思えず、寛ぎ気分に浸れる味つけではなかった。
「三日前も、これ、作ってくれたな…」
黒崎は搦め手から妻に迫った。
「ええ…。今日はちょっと急いでたから、美味しくなかった?」
妻に訊ねられ、黒崎は心の内を見透かされたような気分になった。
「んっ!? いや、そうでもなかったが…」
寛ぎ気分になれる味つけじゃない・・とは黒崎には、とても言えなかった。次回、作ってもらえない危険性を瞬間、感じたからである。^^
先々の寛ぎ気分を得るためには、味つけの苦情は言わない方がいい・・というのが結論のようです。^^
完