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<17>休憩時間

 働いてばかりでは身がもたない。そこで、働く合い間に設けられるのが休憩時間である。ほんの短い間でも休息すれば、妙なもので仕事の効率が(はかど)ったり、出来なかったことが出来るのは不思議と言えば不思議な話だ。

 山室は町役場で働くしがない公務員の一人である。山室が所属する環境生活課は住民の苦情処理専門の課だった。この日も、苦情の電話が入ってきた。電話音が響き、デスクに座る山室が受話器を取った。

「はい、それは困りますよね。一時間後に伺います…」

 昨日は山から下りてきた猪が畑を荒らすから、何とかならないか? という漠然とした苦情の対応に四苦八苦した山室だった。「畑の周囲に防備フェンスを設けられては如何でしょう…」

『高くつくんでしょ? 補助金は貰えるんでしょうな』

「はあ、申請して戴ければ一定額の支援が町から出ると思います。申請して戴ければ、の話ですが…」

『さよですか…。考えてみます』

 という対応で、なんとか凌いだ昨日の山室だった。今日は完全防備でスズメ蜂退治である。役場の物置には、様々な苦情に対応出来る装備や道具が収納されていた。蜂退治は何度も経験してきた山室だったが、今日は少し(くつろ)ぎたいな…と思った矢先の苦情電話だったから、かなりテンションが下がっていた。

 苦情処理中は休憩時間は取れず、寛げない。苦情処理に向かった山室が無事、処理を終え、町役場へ戻ると昼前になっていた。「山室君、ご苦労さん…。今日はプラス30分つけよう…」

 課長の水岡が掛け時計の針を見ながら言った。

「ということは、一時半までOKってことですか?」

 昼の休憩時間1時間プラス30分=一時間半ということだろう…と山室は思った。

「まあ、そういうこった…」

 たった30分の休憩時間延長許可で、俄かに山室の寛ぎ気分は倍加し、テンションが高まった。

 寛ぎ気分は休憩時間のほんの些細な長短で変化します。^^


                  完

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