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<14>画策
暑くもなく、かといって寒くもない気候。そこへほんの少しの爽やかな涼風が通り抜ける。ふと見遣れば、庭の庇に吊るされた風鈴が風に揺られ、チリリ~ン! と風情のある音を醸し出す。こんな快適な状況なら寛ぎ気分に否応なく浸れることだろう。
橘は、とあるクソ暑い夏の夜、明日は快適な寛ぎ気分を味わおう…と画策していた。
『まず、早朝に起きる。これが一番だな…。で、涼しいうちに外の雑用をやってしまおう。それから、軽く出た汗で濡れた下着を変え、シャワーをしてサッパリしよう。その頃には暑くなってくるだろうから、前もってクーラーを利かせた部屋で軽く朝食にする。で、冷んやりした書斎でカキモノをしてと…』
アレコレと画策し、次の日はコトもなく橘は寛ぎ気分を手に入れたのである。
寛ぎ気分に浸るには、綿密な画策が欠かせません。^^
完