<100>急ぐ
急げば寛ぎの気分は得られない。寛ぎの気分は相当、我儘で、急ぐことなく落ち着いているときだけにしかやってこない・・という性質を持っている。このお話も百話となり、いよいよ終わることになった。そこで、寛ぎの気分さんに来て頂いてインタビューすることにした。^^
「寛ぎの気分さん、態々(わざわざ)お越し頂き、どうも有難うございます」
『いえいえ…。で、私に何か用か? 九日、十日?』
「ははは…上手いっ! 冗談はさて置いて、少しお話を訊かせて頂こうかと思いまして…」
『急いでおられますね。急ぐと私は去らねばなりません。では…』
「ま、待って下さい! そう言わず、少しだけでもお話を…」
『あなた、諄い方ですね。そういう人のところには、とてもおられないのが私です…』
「難しいんですね…」
『そうです! 私は、のんびりとした雰囲気の中じゃないと存在出来ないのです…』
「分かりました。のんびりとした雰囲気が必要だと…」
『ええ、それを心がけてさえ頂ければ、いつでも寄らせて頂きます』
「なるほど…」
『他に何か? …やはり急いでおられますね? それでは、これで…』
「あっ! 待って下さいっ!」
声をかけたとき、すでに寛ぎの気分さんはどこかへ消え去っていた。こうして、インタビューは、少しは聞けたものの、不調に終わった。
皆さん、寛ぎの気分を得るには、急ぐことなく、のんびりとした気持になることが重要なようです。^^
完