<10>受験
多くの人が経験し、また経験することの一つに受験がある。この時期の受験生は寛ぎの時間を最小限に縮め、受験の対応に多くの時を費やす。過去、私にも経験があることだが…。^^
明日はいよいよ小粂が大学受験をする日となった。日々、受験勉強に励んできた小粂だったが、「まあ、受かったらラッキーくらいに考えておきなさい…」と進路指導の時間に担任から告げられた言葉が小粂の顎に突き刺さっていた。胸だったら命がないところである。^^
『やるだけやったんだから、まあ受けるだけさ…』
受験日前日の夜、小粂は開き直った気分で早く寝ることにした。それが幸いしたのか、次の朝、目覚めたときの気分はいいものだった。たっぷりと眠ったからである。
「では…」
受験会場の試験官が偉そうな顔つきで居並ぶ受験生達を壇上から見下ろしながら告げた。次の瞬間、受験生達の手が一斉に動き始めた。試験官が裏を向け配布した問題・答案用紙を裏返す音が会場にした。当然、受験生の一人である小粂もそうした。
試験がすべて終わったとき、あれだけ緊張していた気分が嘘のように消え去り、入れ替わるかのように寛ぎの気分がヒタヒタと小粂の胸中に押し寄せてきた。
受験が終われば、出来の良し悪しにかかわらず、誰しも寛ぎ気分が味わえるのです。ただ、結果の出たあとは人それぞれで変化することでしょう。^^
完