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《驚天動地》

突然、広間の奥から兵隊の悲鳴が聞こえる。”あれ”を見つけた為だろう。隊長の顔色が変わり、事態はあらぬ方向へと進展する。

あぁ、そうだ。広間にはまだ、魔獣の骸があったんだっけ。


妨害者が魔獣を召喚し、それが現実のものだと認識して以来、ボクたちにとって、魔獣は”居て当り前”の存在になったんだよな。だがそうではない州兵たちが驚いてしまうのも、まぁ考えてみれば無理はない。


隊長はボクらをチラリと見た後、部下たちがどよめく広間へと向かった。


「連中、何をあんなに騒いでるんだ?」


不思議そうな顔をするゲルドーシュ。


「そりゃ、騒ぎますよ。私たちは生死の狭間を綱渡りしたとはいえ、奴を倒してしまったんで、今一つ感覚が鈍っているのかも知れませんが、普通は魔獣なんて一生に一度遭お目にかかるかどうかって代物ですからね」


ザレドスが喧騒をよそに講釈する。


「そうですわねぇ。ゲルと同じ感覚というのが不服と言えば不服ですが、私も何か魔獣が当たり前の存在に感じますわ」


「お前、いつも一言多いな」


ゲルドーシュが”穏やか”に、ポピッカへ噛みついた。


「リンシードさん、どういう事なんだ!? あれは確かに魔獣のようだが、一体これは……」


怪物の死体を確認した隊長が、混乱しきりの顔つきでボクに迫って来る。


「あぁ、あれは妨害者……、ガスラムでしたっけ。彼が最後に放った刺客ですよ。懸案だった”通れない壁”の向こうから来たわけじゃないんで、安心して下さい」


「ガスラムが放った? 奴が魔獣を召喚したっていうのか? 何でアイツにそんな事が……」


ボクのシレッとした答えに、隊長はますます混乱している様子である。ゲルドーシュではないが、その光景にボクもちょっと愉快な気持になった。


「い、いや、魔獣を召喚するなんて聞いた事もないが、それでもあれは魔獣に違いない。前に書物で見たガノザイラそっくりだ。それは認めざるを得ない。


それを倒したのか? あなた方だけの力で? たった四人ばかりのパーティーで? しかもそちらに大きなダメージは、ないように見える」


隊長の混乱は、最高潮に達っしているようである。


「あぁ、いちいちウルセぇなぁ。見りゃわかんだろ、見りゃよ」


ゲルドーシュが面倒くさそうに鼻の頭をかいた。


だが隊長の困惑も分からないではない。何せ一個小隊で対応しても、下手をすれば全滅の憂き目にあう怪物をたった四人で仕留めたのだから。


「あぁ、それからよ。ビックリついでに言っとくけどさ。”通れない壁”の謎もサックリ解いておいたぜ」


ゲルドーシュが、さも自分一人で謎を解いたかのように自慢した。


「ちょっとゲル!それはリーダーのスタンから言うべき話ですわよ!」


「あ、そうだったな! すまねぇ、旦那」


ポピッカに指摘され、うっかりミスに気が付いたゲルドーシュが頭をかく。


「えぇ! あんたがた、魔獣を倒しただけじゃなく、謎の方も解いてしまったのか。いやはや、これは何とも……」


驚きの洪水から解放されつつある隊長が、半ば呆れ顔でボクたちを眺めた。


「い、いや、これは尋常ならざる状況だ。私一人の判断でどうにかなるものではない。申し訳ないが上の方の判断を仰ぐので、しばらく安全地帯の方で待っていてくれ」


こちらの返事を聞く間もなく、隊長は少数の兵隊を連れて足早にダンジョンの奥へと消えて行った。


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