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《不可思議な実験》

いよいよさ深部の謎解きの作業が始まった。ゲルドーシュが渾身の力を込め、壁にタックルをする。

「広間が崩壊しないと、わかっていたですって!? それはまたどうして……」


ザレドスが驚きの声をあげる。


「それを説明するのには準備が必要だ。知りたい気持ちが先行するのは分かるけど、まずはマジックエッセンスの補充をしよう。説明の間に敵が現れる可能性もあるからね」


身を乗り出していた一行は、あぁ、とばかりにそれぞれのモバイラーからマジックエッセンスを魔使具や自らの体に充填する。


「それじゃあ、みんな。例の壁の前まで行こう。やはり謎の全ては、あそことその周辺にある」


ボクは皆を促し、問題の壁へと向かい歩き出した。


「周辺? 周辺と言いましたわよね。どういう事でしょうか」


ポピッカが後ろから尋ねる。


「うん、それを含めて謎の解明、というかボクの推理を確かめるには、みんなの協力が必要だ。お願いできるかい?」


「もちろんですとも、みんなその為に今まで苦労をしてきたわけですからね」


ザレドスの言葉に、ゲルドーシュとポピッカも深く頷いた。


壁のところに辿りついたボクは、皆の方に振り返った。


「これからゲルドーシュに、さっきやったようなタックルを壁にしてもらう。残りの者は、天井を観察するんだ」


突拍子もないボクの指示に、皆が唖然とする。


「……ちょっと、ちょっと待って下さいましよ。スタンが何を言っているのか全く分かりませんわ!」


「そうです。なぜ天井を観察するんです。それにゲルが壁に体当たりすれば、やっぱり衝撃で広間が瓦解する可能性が増してしまうのではありませんか?」


ポピッカとザレドスが、疑惑の大合唱を奏でる。ただゲルドーシュは、涼しい顔をして数メートル後ろに下がり始めた。


「ほらほら、旦那の言う通りにしようぜ。旦那は理にかなわない無茶苦茶な事をいう奴じゃないってのは、お前らももうわかっているだろう?」


戦士の一言に、僧侶と細工師は顔を見合わせる。そしてボクに納得の表情を見せてくれた。


「ありがとう、ゲル。じゃぁ、キミはそこでスタンバイしていてくれ。ボクが合図をしたら、この壁に向かってダッシュだ。


それから残りの二人は、ゲルが壁に激突した時に、天井がどういう反応を見せるかを観察してくれ。壁に接している天井のエリアを三つに分けよう。右側がザレドス。中央をポピッカ、左側をボクが観察するんだ」


ザレドスとポピッカは、相も変わらず合点のいかない様子だったが、それぞれが与えられた指示をこなすため、天井の各部分を注視した。


「準備はいいかい? それじゃあ、ゲル、思いっ切り壁にタックルしてくれ」


「よっしゃ、まってました!」


所在なげにしていたゲルドーシュが、生き生きとした表情になる。


戦士は肩を突きだし、一気に壁へと突進し激突した。


「どうだい? ザレドス、ポピッカ」


ボクは二人に観察の結果を求める。


「……どうと言われましても、やはりさっきの様に天井からは衝撃のために細かい石の粉が降って来る以外、これといった現象は……」


ザレドスが困惑した態度を隠さない。ポピッカも彼と同じ表情である。


「じゃぁ、今見た現象をしっかり覚えていてくれよ。では、次の段階。ゲル、ちょっと来てくれ」


ボクはゲルドーシュの肩に手を当て、とある魔法を詠唱する。呪文を唱え終わると、戦士の肩口にバチバチと弾けるような魔方陣が出現した。


「スタン、それはもしかして……」


ザレドスが、不可解な面持ちでボクの方を見る。


「そう、これは衝撃倍加の魔方陣だよ。よく土木工事などで、岩などの障害物を破砕する時に使うものだ。とりあえず十倍増しにしてみた。


但しこの魔法は対象物、今回はゲルの肩だけど、それのみに影響する魔法だから、この魔法によって壁や広間が鳴動する事はないと思う。純粋に衝撃が増えるだけって事だ。


じゃぁ、ゲル。悪いけど、もう一回タックルを頼むよ」


軽い返事をしてスタート地点へと向かうゲルドーシュ。彼を尻目に今度はポピッカが慌てた様子でボクに食って掛かる。


「いや、本当に待って下さいまし。十倍ですって? そりゃ、ゲルの体当たりで直ちにここが崩落するとは思いませんが、威力が十倍ともなれば後の保証は何も出来ませんわ。一体どういう……!」


ポピッカの心配は、もっともである。しかし先入観なしで判断をしてもらうためには、今、種明かしをする事は出来ない。


「ポピッカ、ここまで来たんです。スタンを信じて協力しましょうよ」


今度はザレドスが掩護射撃をしてくれる。


「えぇ……、でも……」


納得したとは言い難いものの、ポピッカも不承不承二回目の観察体勢に入る。


「旦那、準備はいいかい?」


今度もゲルドーシュはやる気満々だ。ボクは戦士にスタートの合図を送る。


ゲルドーシュの荒々しいタックルが再び炸裂し、衝撃倍加魔方陣の効果もあって大変大きな衝撃が壁に走った。そしてこれまでと同じように、石の欠片が天井から降り注ぐ。


「ゲル、ご苦労さん。実験はこれで終わりだ」


「ん~、今のが何を意味するのか俺にはさっぱりわからんが、一体何がどうなったんだよ」


ボクのねぎらいの言葉に、戦士もまた疑問を呈する。


「本当ですわ。一体これで何が……」


ポピッカがそう言いかけた時、ザレドスが大きな声をあげる。


「あぁ!! これは……、これはもしかして!!」



【余談】

この辺の描写も「提案→否定」を繰り返す推理ものの感じを使用しています。

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