表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/115

《新たなる旅立ち》

ダンジョンに閉じ込められたパーティーメンバー。お互いの事情を知った上で、これからの方針を決定する。そして……。

「じゃぁさ、旦那。これからどうするか、聞かせてもらおうじゃないか」


ポピッカとザレドスにしてやられた感のあるゲルドーシュが、矛先をこちらに向ける。


「結論から言うと、とりあえず最深部まで行こうと思う。その理由は……」


皆がボクに注目する。


「一つ目の理由として、そこにあるという魔法電信だ。さっき言ったように壊されているかも知れないけれど、それを確認したい。地上と連絡がつけば崩落の程度もわかるだろうし、壊されていたら壊されていたで妨害者の意図も図りやすくなるだろう。


二つ目の理由として、ボクたちが最深部へ行く事に対して、妨害者がどう反応するかを知りたいんだ。ヤツは崩落を起す力を持っているわけだから、ボクらをもっと危険な目に合わせる事だって出来たはずだ。


でも今のところそれをしていない。つまり、必ずしもボクらを殺す気はないようにも思えるんだ。最深部へ近づくにつれて、それがどう変わるのか変わらないのかを見極める」


ボクは説明を続ける。


「三つ目の理由として、やはり残金は手に入れたい。大人しくしていた方が良いかも知れないけれど、妨害者がこのまま何も仕掛けて来ないという保証は何もない。それに狭い安全地帯に閉じ籠りっきりで、いつになるかわからない救助を待つというのは、やっぱり精神的にきついと思うんだ。


まぁ、だいたい、こんなところかな」


説明を終え、ボクは一息つく。皆これで納得してくれるだろうか。


「そうか、俺は賛成だぜ。何にもしないでこんな狭っ苦しい所にウジウジしているなんて、とてもじゃないが耐えられねぇ。ここは一発、旦那の考えに賭けてみてぇ」


ゲルドーシュが一番に口を開く。


「そうですね。私も賛成です。今は何もわかっていない状況ですから、そんな不安定な具合で当てもない時間を過ごすには無理があります。とりあえず何かをやりましょう」


続いてザレドスが賛意を示した。


「私は……、私も同意いたしますわ。現在のところ、まだ肉体的にも精神的にも余裕がありますし、安全地帯には物資が有り余っています。今の内に情報を集めて、問題があればその時に対応しても遅くはないと思いますわ」


ためらいはあるものの、ポピッカも了解した。ポピッカの命は彼女だけのものではない。この女性神父を頼る全ての人達の希望なのだ。迷いがあって当然だろう。


「だけど、ボクらが最深部へ近づくのを妨害者がただ黙って見ているとは思えない。ここからが本格的な”戦い”である可能性が高いですよ?」


ボクが念押しをする。


「望むところだぜ、どんな敵が来ようともブッた斬ってやる!」


戦士が自らを鼓舞するように咆哮し、細工師と僧侶もそれと呼応するように頷いた。雨降って地固まるとまでは行かないが、ダンジョンへ入った時よりも遥かにボクたちの結束力は高まったようだ。これが妨害者にとって誤算である事を祈る。


探索の再会が決まり、各々が必要な準備をする。ゲルドーシュは武器の手入れ、ザレドスは探索用魔使具の点検と入念なデータチェック、ポピッカは神への祈り、ボクはあらゆる事態を想定し、頭の中でシミュレーションを行った。


支度が整い、ボクたちは新たなる一歩を踏み出す事になる。ここからが本当の意味での探索だ。銘々が心に決意を秘めているのがわかる。


地下7階の途中までは、昨日と同じ道程である。しかしメンバーのモチベーションは全くの別物だ。ここから先は、命のやり取りが行われる状況がいつ訪れても不思議ではない。


ほどなくして昨日まで探索した地点へ到着し、そこでボクは皆を止めた。


「さて、ここからの探索なんだけど、未踏破部分の調査を一部オミットしようかと思うんだ。地下8階へ降りる階段への最短ルート上、もしくはすぐ近くにあるところだけ調べる事にして、他は後回しにしようと考えている」


「え、そりゃまたどうして? 前は”未踏破部分に最深部の秘密を解くカギがあるといけないから、丹念に潰していく”って言ってたぞ」


ボクの提案に、ゲルドーシュがもっともな意見を述べる。


「妨害者がいると分かる前だったら、最後までそうしたと思う。でも今はとにかく奴の出方を早く見たい。それに万が一、魔法電信の装置が無事だったら、こちらの状況を少しでも早く地上へ知らせたいんだ」


ザレドスとポピッカが、成程と言いたげに頷く。


「加えて言うなら、今までは日程が決まっていて、最深部には2~3日しか留まれない予定だったろう? でも時間は山のように出来たわけだから、謎解きに行き詰まったらその時に改めて未踏破部分を調べてもいいと思うんだよ。その時に調べなきゃならない部分は、さほど多くないからね」


「おお、それもそうだな。善は急げという事か。納得、納得」


本当に理解したかどうかはともかく、ゲルドーシュもボクの説明に満足したようだ。


「あ!探知機に反応あり、最初の角から何かが……」


「わかってるって」


ザレドスが言い終える前に、いち早く異常を察知したゲルドーシュが大剣の柄に手をあてる。彼の口角は左右とも上がり、燃えるような瞳ともども戦士の悦びに打ち震えているのが見て取れた。皆の周りの空気が異常に張り詰める。


次の瞬間、目の前の通路の影から青黒い塊が飛び出してきた。


【余談】

このあたりで大体の謎を頭の中で構築したので、本格的に探索開始です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ