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フェンリルに転生した俺、人間に復讐を決意します  作者: アイスマシーン
二人の精霊
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61.溺れる程の興奮を

「頑張れよ、期待してるぜ」

最後にそう言って、肉体の意識が変わる。

「待て!まだ聞き足りないぞ」

そう叫ぶが返事が返ってくる事は無かった。



雰囲気の変化に気付いたのか、クエンは私の方を見て言う。

「あら、さっきの子じゃないのね。ちょっと残念」

「久しぶりねラプラス。随分やつれてるわねぇ。可愛いお顔が台無しよ」

クエンがそう笑う。

「ああ、最悪だ。お前がきて更にだ」

「それで、この子がアリューかしら?」

クエンは私の方を向き尋ねる。

「そいつは違うな、そいつは俺の娘だ」

それに答えたのはセトだ。



「あら、折角来たのに。まぁ良いわ」

「貴方達は私をイッちゃう位の快感をくれるのかしら?」

そう言って目を赤く輝かせたクエンは剣を魔法陣から取り出す。

「おい、シータだったか」

ラプラスが焦った様子で私に言う。

「一時休戦だ、協力しろ!」



そう言った瞬間にはもうラプラスの後ろでクエンはセトに剣を振りかぶっていた。

セトは金で盾を作り何とか防ぐ。

次々来る剣劇を捌きながらセトが剣を生み出し飛ばす。

それを躱しクエンは一度距離を取る。



「あら、良い魔術ね。でも、それだけじゃ私を倒せないわよ」

「黙れ化け物」

するとクエンの後ろにラプラスが回り込み魔法を行使する。

「【次元線状の槍】!」

唱え終わると無数に枝分かれした槍がクエンを襲う。

だが剣でそれを弾くといつの間にかラプラスとクエンの居場所が入れ替わり、ラプラスの背後に剣を振りかぶるクエンがいた。



「ちっ!」

ラプラスはそのまま切りつけられる。

ラプラスの傷は深く、血がとめどなく流れる。

それに追い打ちをかけるようにクエンが私に言う。

「ほら、よそ見してると危ないわよ」

そう言って私に剣を振り下ろす。

結界魔法でそれを防ぎ反撃をしようとするが、その時にはクエンの剣が私の目前に迫る。

「く!」

それを何とか躱すが、頰から血が噴き出る。

(何だ、あの玉?)



いつの間にかクエンのそばに球のような物が宙に浮いている。

クエンの剣を躱しながら観察するがそれが何かわからない。

まるでその球の中に宇宙でもあるような。

そんな事を考えながら避けていると、ラプラスが叫ぶ。

「とりあえずあの玉は気にするな!」

その言葉を受け、反撃に移る。



【天垂】(アマダレ)

すると私の頭上に魔法陣が展開される。その数は二十を超える。

クエンがそれを防ぎに動くが遅い、一斉に発射された光線はクエンに直撃する。

だがその直前にクエンはその傍にあった球を砕く。

「あら、良いわぁ。もっと頂戴、ゾクゾクするやつ!」

その言葉と共にクエンは恍惚の表情を浮かべる。

「ほら、もっと溺れさせて!」

その剣戟は徐々に苛烈さを増す。



さっきまでは避けられていた剣戟が徐々に体を掠める。

そして、隙を見て放った渾身の一撃を躱され懐に入られる。

「ほら、油断しちゃダメよ」

そう言ってクエンは剣を振り下ろす。

だがそれは私に当たる事は無かった。

クエンの剣をセトが受け止めていたからだ。



【火雷(ホノイカズチ)緑王】(リョクオウ)

緑色の雷を纏う爪をクエンに振るう。

それをバックステップで避けるがその地点に先回りでラプラスが構えている。

「見えてた?じゃあ痛み分けと行きましょう!」

クエンはそう言うと剣を投げつける。それはラプラスの胸に刺さった。

だがそのままラプラスは魔法を発動する。



【不定理を悟った者】(ラプラスの悪魔)

三つの宝石のような物がラプラスから放たれ、クエンに直撃する。

ラプラスが倒れ、クエンが膝をつく

「あ、ああなんてエクスタシー。イッちゃそう」

腕を組んで震えた声で言う。その顔は恍惚に歪んでいた。

「ラプラス!」

セトが転移魔法でラプラスのそばまで転移し回収した後戻ってくる。

その間にクエンは立ち上がり剣を作り出し手に取る。

「名残惜しいけれど、そっちの大きい方もそろそろご退場願おうかしら」

クエンがそう言うと同時に、先とは比べ物にならない速さでセトに迫る。

セトが金で防ごうとするが、その金を砕きそのままセトの胸を切り裂く。



「ぐぁ!」

セトの傷は深い。だが、セトは諦めず魔法を使う。

私も何とか手助けをしたいが魔法じゃセトまで巻き込む。

だが、このままではセトが危険だ。

「ああ、良いわ。その目」

クエンは目を爛々と輝かせ言う。

「貴方諦めないのね!そうゆうの目大好物なの!」

そう言って更に速度を上げる。

だがどうせ同じなら。



四重詠唱

「【九天衝落:黒天】」

漆黒の槍をクエンに向けて飛ばす。

「何それ!良いわぁ!素敵、大好きよ!」

そう言ってクエンは槍に切りかかる。

そのまま槍ごと切り伏せようとしたが、槍は壊れない。

「あら?」

突然の事に目を見開くクエン。

右手で何とか槍を受け止めている、今が追撃のチャンスだ。

クエンの頭上に転移し光で刃を作り、斬りかかる。



クエンは左手で傍に浮いている球を引き寄せそれを砕く。

すると槍も私もクエンの体を通り抜ける。その後ろにはセトがいた。

槍はそのままセトに刺さる。

「ぐっ」

クエンがその隙を見逃す訳もなくセトの首を剣で刎ねる。

「アハハ!」


「セト……」

「あら!お父さんだったかしら?残念だったわね」

そう言ってクエンは私を見る。

「さぁ、最後のデザートになってくれる?」

クエンはそう言って私に剣を向ける。

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