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フェンリルに転生した俺、人間に復讐を決意します  作者: アイスマシーン
二人の精霊
52/122

51.目的の地は

それから更に三か月が経ちアリューが拠点を空けてから半年になる。

ノア、ミーニャの二人は目に見えて元気が無くなっている。

他の三人も表には出さないけどエルフがこんな状況になっていること是とするはずが無い。



「ノア、ミーニャ、持ちは分かるけど、今出せる手はないわ。少しでも顔を上げて」

「エヴィ、分かってるの、でも……」

「うん……でも、納得できないよ」

二人は下を向きながらそう言う。

私はそんな二人を見て何も出来ない自分に腹が立つ。

そんな時、シータが帰ってきた。



「皆、来客だよ」

シータの後ろからは見知った顔があった。

「ミール!エレン!」

二人だけじゃない他にもエルフが居た。

「久しぶり、エヴィ」

「エレン……ミールも!」

私は嬉しくなって二人に駆け寄る。二人は少し気まずそうにしていたけど、私を見ると微笑んでくれた。



そんな私達にシータは話しかける。

「まずは、話を聞こうか。代表で一人来て、他の人は休んでていいよ」

そう言ってシータは談話室に案内する。





「村が襲われて、それで一抹の望みに掛けてここに来た」

エレンがそう話し出す。

「ねえ、ちょっと聞いていいエレン?。ケールは?ここに居なかったけど……」

「……ケールは……死んだ。ここに居ない人は全員、殺された」

エヴィは言葉が出ないようだった。



「何でここに?エヴィがそっちに行ったときに状況を話したって聞いたんだけど」

「ここの他にも助けを求めてみた、でもアノートの一件に関わってた僕たちの村は何処にも受け入れてもらえなかった」

エレンは唇を噛みながら言う。

「……うん、大体は分かった」

でもどうするべきか……寝床に関しては使ってない大部屋があるから二十人程度何とかなる。

問題は食料、アリューが居ない以上、食料を余分に供給することが出来ない。

だからといってここで追い返すわけにもいかないし……

せめて、アリューと連絡を取って一瞬だけでも帰ってきてもらうとかできれば一瞬で解決するのに。



「とりあえず、匿ってあげる。でも今の状態だと長くは匿えない」

「感謝します、本当に」

エレンは安心したのか少し笑顔になる。

「皆に伝えてきていいですか」

「うん、そうしたら休んでて。疲れてるでしょ」

「はい、そうさせてもらいます」

そう言ってエレンは皆の居る部屋に向かう。



「それとエヴィ、デルとエフレンそれとサーシャを呼んで。アリューを探すよ」

「……分かったわ」

そう言ってエヴィは三人を呼びに行った。




「それで、アリューを探すって具体的に何をするの?」

エフレンがそう聞く。

「アリューが何処に居るのか探す」

「どう、やって?何処にいるかも……分からないんでしょ」

サーシャは眠たそうにそう言う。



「それはそうだけど、その前に一つやってもらう事があるよ」

「それは?」

エフレンがそう聞く。

「転移魔法を覚えてもらう」

「転移魔法……大将が使って全員送ればよくね?」



「手は多い方が良いからね、五人で一か所調べるんじゃないし、それにもし危険に遭遇した時には必須」

「なるほど、分かった。それでどうやって覚える?」

エフレンがそう聞くとシータは少し笑う。



「分からない」

「え?」

エフレンは驚きの声を上げる。

「私はアリューに体験させられて使えるようになったから……」



「とりあえずマナの組み立てを教えるよ」

「転移魔法はまず、マナでパズルを組み立てるようにマナを組む」

これをアリューは魔法式といったっけ。

「それを魔法式を言う」

「何処に飛ぶか、位置が変わると魔法式も変わるよ」

「これを組み立てると転移魔法が使えるようになる」

「まず簡単な目視移動の方を教えるね」



転移魔法は厳密に言えば二種類ある、さっき言った目視移動これは言葉の通り、目で見ている所に移動できる転移魔法。

もう一つは座標転移、これは座標を指定してそこに移動する魔法。

ただこっちは難しい、マナのパズルの組み立てを目隠しでやるようなものだ。



「まずは、目視移動から」

そう言ってシータは手本を見せる。

「まず、目視した所にさっき言った魔法式を組み立てる。そして魔法式が組みあがったらもう飛べる」

シータは手本を見せるとすぐに転移した。

「こんな感じだよ」

そう言ってシータは戻ってきた。

「今ので分かったでしょ?」



「分かると?もっとちゃんと教えて」

「むり、わからない」

エフレンとサーシャがそう言う。

「………」

まあ、そうだろうとは思ったけど。

私もアリューに体験させてもらうまで成功はしなかったし。

どうしよう。そう悩んでいるとエヴィはあっさりと転移魔法を成功させた。



「あ、できた」

それに私共々呆然とする。

「何となくできたわ」

そんな答えが返ってきた。



「何で、あれでできるのよ」

「マジ天才だろ」

「凄い」

シータとエフレンとサーシャはそれぞれの感想を言った。

「エヴィ、もう一回やってみて」

私はそう言うとエヴィは少し困った顔をしたがすぐに了承した。



「分かったわ」

そう言ってさっきと同じように転移魔法を発動させる。

エヴィが転移魔法を発動させる、また同じように成功させた。

「エヴィ、教えて」

サーシャがエヴィに聞く。

「私も」

「おい、私もだ」

エフレンとデルも便乗する。



……ちょっと待って、転移魔法は成功させた時。なんで私は気づかなかった?

マナの軌跡が……無い?そうだ確かアリューがエヴィのマナは自然のマナとほとんど同じって言ってた。

つまりマナの軌跡が見えない、空気と同じ色で筆をなぞるように。

「何と言うか、天才だねエヴィ」





「つまりね、転移するところにマナを送ってそこでマナを形作るの」

「それが分からないのだけれど」

「おい、天才。私達にも分かるように説明しろ」



エヴィが転移魔法を使えるようになってから私達はマナの組み立て方を教えている。

ただエヴィは感覚でやってしまっているので中々上手くいかないようだ。

「何となく分かるのよ、でもそれを言葉で説明するのが難しい」

「……まあここからはエヴィが指導して。私はちょっと出かけるね」



「どこに行くの?」

「手掛かりを見つけに」

そう言って私は拠点を出た。




シータは拠点を出るとすぐに転移魔法を発動させる。

(座標は……)

そして目的の位置に着いたのかその場に止まる。

「何の用だよ、クソガキ」

着いた場所はセトの寝床だ。



「久しぶり、クソオヤジ」

シータがそう言うとセトは苦虫を嚙み潰したような顔をする。

「で、何の用だ?」

「アリューが拠点を空けたあの日、ここに転移魔法で来てた。そう予想した」

セトはシータを睨む。



「アリューが何処にいるか知ってるだろ、もしくは目的を」

「……」

「知ってるな」

「……ああ、知っているよ」

(やっぱり)

シータは確信する。セトのこの反応は確実に何かを知っている。

「服従だろ、セト、教えろ」

「ハッざんね~ん。その契約はそのアリューが破棄した。だからもう教える義理はねーな」

シータはセトを睨む。



「俺はお前達の味方じゃない。むしろ敵だ」

「だがまあ、教えてやるよ。『ハイルデザート』そこをそいつは目指してる。いや正確に言えばそこに居る【ラプラスの悪魔】」

(ラプラスの悪魔?確かアリューが言っていた……でもハイルデザート?」

「ハイルデザート?」

シータは聞いたことがないのか首を傾げる。



「ああ、万物に霊が宿る場所、それがハイルデザートだ」

「霊が宿る場所?」

シータは更に首を傾げる。



「ちっ物わかりの悪い奴だな、そうゆう所なんだよ」

「そこにアリューは居るのか?」

「知らねえよ、まあそこが目的地なんだからよ行けば分かるだろ」

そう言ってセトは笑う。

「感謝はしておく」

「じゃあなクソガキ」



シータはセトにそう言うと消える。

シータはハイルデザートについて考える。だが考えても答えは出なかった。


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