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フェンリルに転生した俺、人間に復讐を決意します  作者: アイスマシーン
血の戦争
46/122

45.未来のため

「シータ」

「アリュー、こんな所に居たんだ」

「んーまあ、ちょっとね」

アリューは何か考え事でもしていたのだろうか?

「僕はちょっとの間ここを空けることにするよ」

「随分唐突だけど、何処か行くの?」

「うん、少し用事があってね。帰ってくるのは決まってるんだけど少し空けるからその間色々とよろしくね」


そう言ってアリューは私の頭を撫でた。

そして頭に乗せていた手を下して言った。

「シータ、心配は依頼ないよ。何時になるかはわからないけど必ず戻ってくる」

「うん、分かってる。何時でも待ってるよ」

「ん、ありがとうシータ。それじゃ行ってくるね」



「アリュー様、お気をつけて行ってらっしゃいませ」

ヤクサは深々と頭を下げる。

他の者たちもそれに合わせて頭を下げた。

「じゃあ行ってくるよ、君たちに精霊の加護があらんことを~」

そう言うとアリューは転移魔法を使って消えた。

本当は居て欲しい、でもわがままは言えない。

それにアリューなら何の心配もない。半年でもすれば帰ってくるだろう。



それから何事もなく月日は経って行った。

私の知らない所でメイドと執事と料理人などなどと役が決まっていたらしい。

少し疎外感を感じながらも気にすることなく過ごしていた。

そして立った日数を数えてみれば今日で三か月が経とうとしていた。


「シータ、ちょっといい?」

そう話しかけてきたのはエヴィだ。

「要件は分かるよ、今日で三か月、戦争の事でしょ」

「ええ、そうね」

「どうもしないんじゃなかったの?」

「そうね、そのつもりだったんだけど。結末を見たくなったの、だからお願い、私を転移魔法で送って」


「それは、戦争には参戦せずに遠くから見るって事?」

「そうするつもり、それともう一つお願い他に誰も連れて行かないで」

きっともしもの惨状を見せたくないんだろう。

「分かった、見に行こうか」

そうして私達は転移魔法を使い転移した。



森の中

「あえて光栄だ、バートル」

「こちらこそ、ウォルター」


二人のエルフが向かい合っている。

片方は白い髭と髪で大柄な老人、もう片方は緑髪で片眼鏡をかけている。

「こちらの部隊と合わせ約500人、これが四つか」

「ああ、この森を抜けるとアノートのすぐそば。四つの部隊で同時に攻め、短期決戦で勝負をつけるって算段でよかったよな」

「そうだ、作戦に変更はない。全ての部隊が揃えば通信魔法で私達部隊長に通達が来る。それと同時に出陣だ」


それから少しの時間が経った。

「来た、合図だ」

「さあ行こうか、この戦いに勝利すれば俺たちエルフは再びこの世界に返り咲く」

「ああ、勝ってこの争いを終わらせよう、未来のために」

ウォルタ―は大きく息を吸い込んで、大声で叫んだ。

「進めーーーー!!」

その言葉とともに森の木々をかき分けてエルフの部隊がアノートへ向かう。



アノート国

「全く、カルバドリアのゴミどもめ。アルマンアイアンの輸出にかかる税率をこれまで以上に上げるだと!調子に乗りやがって」

アノート国王、アルバード・ローレンスは荒れていた。

「ですが王よ、カルバドリアの食料品や道具が無くては生活が成り立ちません。ここは素直に受け入れるしか」


「ゴミどもを腹をさらに肥やすために?ふざけるな!」

アルバードは怒りに任せ机を思い切り蹴り上げた。

「王よ、気持ちは痛いほど分かります。ですが落ち着きやれることをやりましょう」

蹴っ飛ばされた机を直しながら側近はそう話す。

「分かっておる、だがこれで国内の貧困がどれだけ悪化するか、頭が痛くなる」

椅子に座りアルバートは頭に手を置く。

「御察しします」


そう話をしている時、ドタドタと足音を立てながら勢いよく扉を開け入ってくる者がいた。

「王よ!大変です」

「何だ騒々しい」

「すいません、ですが急報が」

「申せ」

「は、はい。見張りの兵からこちらに向かってくる武装集団が居ると報告が」

「なに、武装集団だと?」

「はい、500名程の部隊が計四つ、こちらに向かっていると」

「な、何だと!誰だ、誰だそいつらは!」


そうアルバートが叫ぶともう一人の兵士が部屋に入った。

「た、ただいま入った情報によりますとエルフの軍勢だと」

「エルフだと?何をふざけたことを!」

「ふざけてなどいません、複数の兵士が見ております。そのとがった耳はエルフそのものです」

「……なぜ、なぜこんな時に。クソが!」

「全ての兵を出動させろ、完膚なきまで叩きのめせ!」

そう言ってアルバートは机を叩いた。

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